2019年
06月12日

デザイナーがラジオを聴きながら仕事をすると vol.1

仕事中はラジオを流しています。
私は無音でいるのが苦手なので、とても助かっています。
また、クリエティブ寄りの番組もけっこうあって、
おもしろい話やヒントになるような情報が流れてくることもあります。
最近はネットラジオで聞き逃した番組を後から聞けたりもします。

仕事をしながらなのでほとんどは聞き流しているのですが、
たまに興味があるからなのか、仕事への集中力が切れたからなのか
ストンと情報が入ってきてしまうことがあります。

その時は、ナチスを騙した贋作家、オランダ人画家のハン・ファン・メーヘレンについてでした。

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出典:ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ハン・ファン・メーヘレン

1945年、ドイツが降伏し、占領下にあったオランダは解放される事になり、
メーヘレンはナチス・ドイツにオランダの国宝とも呼ばれる
フェルメール作品を売り渡した事を罪に問われ逮捕されました。

ところがメーヘレンはナチスに売却した絵画は「贋作」だと告白しました。
そしてその証拠として法廷で実際に絵を描いて見せたというのです。
さらにX線写真などの鑑定が行われ、ナチスに売った絵は贋作であると証明されました。
贋作家メーヘレンがナチスに売った絵画は誰もが本物だと信じて疑わなかったため逮捕されたわけですが、
メーヘレンの評判は「オランダの国宝を売った裏切り者」から一転し、
「ナチス・ドイツを騙し、フェルメールを守った」英雄になった。
という話でした。

メーヘレンという凄い才能を持ちながら贋作画家であったという人物の魅力、
贋作と本物の違いが誰にも見分けられない時、芸術の価値とはいったい何なのだろう、
とか、ドラマチックなストーリーであるし、いろいろ考えさせられる話だったので
つい引き込まれてしまったわけです。

ですが、聴き終わってから気がつくと、私の興味の先は、
なぜナチス・ドイツは占領した先で芸術品を真っ先に奪ったのか
ということに向かっていました。

有名な絵画や芸術作品そのものに値打ちがあるので資金源になったから、
人種差別的な理由、ヒットラーが画家を目指していたから、
などもあったのだとは思うけれど、
それよりも何かもっと別なものを奪おうとしていたのではないか・・・

美術品や芸術品の価値はその技術だけではなく、
作品の背景にある歴史や文化の中で培われた、土地や人、国の豊かさ
そのものから生まれるものなのかもしれない・・・
そういった観点で考えるとナチス・ドイツが奪おうとしたものとは
国や文化の繁栄の歴史そのものをだったのではないだろうか・・・

・・・というところで瞑想状態から我に帰ったのでした・・・

身の回りのもの、生活の日用品、仕事の実用品がデザインの魅力に溢れていれば、
自ずと暮らしや仕事の質があがるようなこと。
それこそが人や国の豊かさなのではないだろうか。

・・・豊かさを作る・・・自分の立ち位置からは遠いかなぁ。
一歩ずつは目に見えないほど小さい・・・

今日もラジオを聴きながら、締め切りに追われ仕事をしています。


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